牡羊座の神話
12星座の最初に位置する牡羊座は、この世に初めて生まれた生命に似ています。
何も無いところから天地が創造されて、そこから命が生まれ、グングンと力強く育っていくようなダイナミックな生命力の象徴なのです。
牡羊座に関する神話はいくつかありますが、そのなかでもテッサリア国の王子アタマスを救った「金毛の羊」だという説が最も有力です。
テッサリア国の王子アタマスは、最初の妻である妖精ネフェレとの間にプリクソスとヘレーという兄妹に恵まれました。
しかしネフェレと別れた後に、イノーを妻として迎えました。
イノーとアタマスの間にも子供ができたのですが、自分の子供よりも立場が上であるプリクソスとヘレーのことが疎ましくなってきたのです。
そこでイノーは継子であるプリクソスたちを殺そうと考えはじめました。
イノーが最初におこなった策略は、国中の作物を枯らしてしまうことでした。
人々が凶作で飢えに苦しむようにしておいてから「王子プリクソスを生贄にささげればよいという神のお告げがあった」と神殿へ伝えたのです。
ですがこの悪巧みに気づいた妖精ネフェレは、自分の娘と息子を助けるために大神ゼウスに祈りました。
すると無垢な二人を哀れに思ったゼウスは、生贄に捧げようとする瞬間に雲に二人を包んで金の羊にのせて逃がしてやったのです。
金の羊は二人を背中に乗せて大慌てで空を駆けて飛んでいったのですが、あまりにも早く飛んだために妹のヘレーは海に落ちて死んでしまいました。
妹の死に悲しみにくれながらも、金の羊にのった兄プリクソスはコルキス国にたどりつくことができました。
プリクソスはそこで歓迎されてたいそう喜び、お礼の気持ちとして、金色に輝く羊の毛皮をコルキス王に贈りました。
そして羊はゼウスによって天に召されたのです。
二人の兄妹を勇敢に救い出した金の羊ですが、いきおいあまって妹を振り落としてしまうなど、けっこう大雑把なところがあります。
馬力はあるけれど力のコントロールが下手なところが牡羊座の性質に似ているかもしれません。